入居時チェックリスト|部屋別の確認ポイントと写真の撮り方・保存のコツ
賃貸の退去で「もともとあった傷まで自分の負担にされた」と損をしないために、いちばん効くのは入居したその日に部屋の状態を写真で記録しておくことです。お金も特別な道具もいらない、いちばん確実な自衛策です。
この記事では、入居初日にやるべき部屋別のチェックリストと、退去時にちゃんと証拠として使える写真の撮り方・保存のコツを、順番に沿って整理します。退去で数万円の差を生むのは「退去のとき」ではなく「入居した日」です。
この記事の結論
- 入居初日に部屋ごと・設備ごとに、傷や汚れを写真で記録しておく(後から「入居前からあった」と示せる)
- 傷・汚れは「全体が分かる引きの写真」と「近づいた寄りの写真」の2枚をセットで撮る
- 撮影日が分かる形で残す(スマホの撮影日時、当日の日付が分かるものを一緒に写すなど)
- 気になる箇所は入居時点で管理会社に連絡・共有しておくと「言った言わない」を防げる
- 退去時は入居時と同じ場所・同じ角度で撮ると比較しやすい
① なぜ入居初日の写真がそんなに大事なのか
原状回復でもめる一番の原因は、「その傷が、入居前からあったのか、自分でつけたのか」を証明できないことです。証明できなければ、もともとあった傷まで自分の負担にされてしまうことがあります。
国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では、経年変化(時間の経過による自然な劣化)や通常損耗(普通に生活していて生じる傷み)は原則として大家(貸主)の負担とされています。2020年施行の改正民法621条でも、借主は通常損耗・経年変化の原状回復義務を負わないと明記されています。つまり、入居前からあった傷・経年劣化は本来あなたが払うものではありません。それを証明する材料が「入居時の写真」です。負担区分の考え方は 賃貸の退去・原状回復ガイド でくわしく整理しています。
② 入居初日にやることの順番
- 鍵を受け取ったら、家具を運び込む前に撮る。荷物を入れる前のまっさらな状態がいちばん記録しやすい。
- 部屋ごとに、決まった順番で1周する(玄関→各部屋→キッチン→浴室・洗面→トイレ→窓・収納)。撮り漏れを防げる。
- すでにある傷・汚れ・不具合を見つけたら「引き」と「寄り」の2枚で記録する。
- 気になる箇所は管理会社へ連絡・共有しておく(メールなど、後で残る形が安心)。
- 設備の動作も確認(コンロ・換気扇・エアコン・給湯・水の出など)。動かないものは早めに連絡。
③ 部屋別チェックリスト
下のリストに沿って、各部屋を1周しながら記録していきましょう。「ここは大丈夫そう」と思った場所でも、全体が分かる1枚は撮っておくのがコツです。
| 場所 | 撮っておきたいポイント |
|---|---|
| 玄関 | 扉の内外・ドアノブ・床(たたき)・靴箱の中・傘立てまわりの傷や汚れ |
| 各居室 | 壁4面・床(フローリング/畳)・天井・建具(ドア・襖)・幅木。家具を置く予定の場所も先に撮る |
| キッチン | シンク・コンロまわり・換気扇・床・収納扉の中・壁の油汚れ・水漏れ跡・コーキングのカビ |
| 浴室・洗面 | 浴槽・壁・床・ドア・鏡・蛇口の水垢・コーキングのカビ・ひび・排水口 |
| トイレ | 便器・タンク・床・壁・温水洗浄便座の動作・水の出 |
| 窓・サッシ | ガラスのひび・サッシのへこみ・網戸の破れ・鍵(クレセント)の動き・結露跡 |
| 収納 | クローゼット・押入れの内部・棚板・カビやシミ・扉の建付け |
| 設備 | エアコン本体と吹き出し口・照明・インターホン・給湯リモコン・分電盤まわり |
④ 写真の撮り方のコツ
- 「引き」と「寄り」の2枚をセットで。引きで「どの部屋のどこか」を、寄りで「傷の大きさ・程度」を残す。寄りだけだと後から場所が分からなくなる。
- 撮影日が分かる形で残す。スマホは撮影日時が自動で記録されるが、念のため当日の日付が分かるもの(新聞・スマホの日付表示など)を一緒に写すとより確実。
- 明るくして撮る。照明を点け、必要ならカーテンを開ける。暗い写真は傷が分かりにくい。
- 傷には目印を添える。定規やコイン、付箋などを近くに置くと、大きさが伝わりやすい。
- 動画も併用すると楽。部屋を1周しながら撮ると、撮り漏れが減り、空間の位置関係も残せる。
- 退去時は同じ場所・同じ角度で。入居時と見比べられると「この傷は最初からあった」と一目で示せる。
⑤ 撮った後の保存と共有
- クラウドに自動バックアップしておく(スマホの紛失・買い替えで消えないように)。
- 「入居時」「物件名」「日付」が分かるフォルダ名でまとめておくと、退去時に探しやすい。
- 気になる箇所は管理会社へメールで共有しておく。送信日時が残るので、入居時点で伝えた証拠になる。
- 退去まで消さずに保管する。退去のタイミングで写真が手元にあるかどうかが分かれ目になる。
よくある質問(FAQ)
Q. 入居してから数日たってしまった。今からでも意味ある?
あります。気づいた時点で記録しておけば、退去時の状態との比較材料になります。「入居直後に撮ったもの」として残し、可能なら管理会社にも共有しておきましょう。
Q. 写真は何枚くらい撮ればいい?
枚数のノルマはありません。「全部屋の全体+気になる傷の引き・寄り」を意識すると、自然と数十枚になることが多いです。多すぎて困ることはないので、迷ったら撮っておきましょう。
Q. 管理会社に共有すると、かえって細かくチェックされない?
入居時点の状態を共有しておくことは、退去時に「最初からあった」と示すための材料です。お互いの認識を合わせておくほうが、退去時のトラブルは起きにくくなります。
Q. 退去のときは何に気をつければいい?
立会いでその場でサインを求められても、納得できなければ保留してよい、入居時の写真を手元に用意しておく、などがポイントです。くわしくは 退去立会いで損しないチェックポイント にまとめています。
立会い当日が不安な方 → 退去立会いで損しないチェックポイント/敷金が返ってこないとき → 敷金が返ってこない時の対処